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TORTOISE

08 / 2
at 3:21 am

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Photo by suguta

 夕闇の空から少しずつ闇が濃さを増していく中、シカゴ音響派の重鎮であり、ポストロックの先駆けしても知られるTORTOISEが満を持して登場した。雨が降ったり止んだりする不安定な天候の中、それでも集まった大勢の聴衆は彼等に非常に期待していたことだろう。なんといっても久々の来日公演なのだから。それがまたこのフジロックという場になるとその想いはより一層強いものとなる。

 まずは今年6月に発売された5年ぶりとなる新作『Beacons Of Ancestorship』の曲から立て続けに2曲を披露。ギター、ベース、ドラムにとどまらずシンセやマラカスに木琴等といった様々な楽器を駆使し、どこまでも豊かになっていく詩情の音色に耳を引き付けられる。その一つ一つの音は密接に絡み合いながら、ゆるやかに変化していき、一つの大きな物語を汲み上げていく。それもベテランゆえのかくし味をも加えながら見事なまでに。その美しくもあり、激しくもある、世界に心は完全に射抜かれてしまった。もちろん、それを一部の隙もないほど巧みにまとめ上げる構築の妙はやはりTORTOISEの成せる技だろう。ライブにおいても撫でるような柔らかさや、激しく体を突き動かす猛々しさまで精微に表現されていた。その中でも特に印象的だったのは、鬼気迫るような激しい肉体性をみせるJohn McEntireのドラム。頭一つ抜きん出るほどの破壊力を有しているその衝動性はこちらの体ごと持ち上げていくような感覚だった。

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 私自身はこの日、TORTOISEを初めて拝見したのだが、驚ろかされたのは曲によってローテーションみたいに楽器を変えていくこと。ドラムが木琴へ、シンセ担当がドラムへ(ちなみにTORTOISEには3人ドラマーがいる)と曲のコンセプトに合わせてか、一人一人が鳴らす音の違い・呼吸等を考えて変化を加えているんだろう。そこまで計算して音造りを行っているのにも驚嘆する。だから剛・柔の表現の仕方も巧みなのだ。この辺りも当然ながら計算づくなのだろう。もちろん、それを成せる演奏技術の高さは言わずもがなである。やはりこのバンドは一歩抜きん出ている。

 1時間を越えるステージの後には、大勢の観客の期待に応えて、なんとアンコールを行い、3曲も熱演。迫力のツインドラムを中心とした躍動感溢れるセッションから、幻想的なメロディのループから徐々に激しい衝動・カタルシスへとつなげていく曲まで披露し、大雨に打たれながらもゆらゆらと心地よくなっている聴衆を大いに喜ばせた。もう私自身も終始、感動と興奮で満たされているという状況で、TORTOISEの底知れぬ想像力が見果てぬ混沌をもたらす1時間半があっという間の出来事に感じられたのだった。

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->Photo Report

reported by org-takuya

 

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3 Responses to TORTOISE

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ROOKIE A GO-GO AFTER PARTY レポート | fujirockers.org

9月 1st, 2009 at 11:26 AM

[...] 「(ルーキーに出たときは)深夜から(今回は)早朝なので、空気が違いましたね」とヴォーカルの佐々木が語る。「このステージで10時間待てば、ダイナソーJr.が出るんだ」と感慨深そうにしていた。サポートギタリストとしてフラッドと同行している奥村はダイナソーJr.のギタリストであるJマスシスのサインを貰い、ダイナソーのライヴは「髭(HiGE)の斉藤とポリシックスのフミと前の方で観ていた」とのこと。メンバーたちはいろんなステージを堪能したようで、よかったのは、「トータス」(佐々木)、「ミーターズ、ショーン・クティ」(ドラム渡邊)、「ネヴィル・ブラザース」(ベース石井)。 [...]

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Sheldon Clarey

4月 9th, 2017 at 10:30 AM

Really good site, thank you so much for your effort in writing this post.

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Poşet Baskı

9月 17th, 2018 at 11:39 PM

Nice post.

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