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オルケスタ・デ・ラ・ルス

07 / 25
at 4:05 pm

太陽を雲が押し隠し、空模様はやはり良好と言いがたい。足場は…ああこれはひどいな、ぼーっとしていると長靴と溶けかけのジェラート状になった泥の地面とがくっついてしまう。灼熱の太陽でステップを軽快に刻むサルサミュージックにとって、かなりの苦戦を強いられそうな環境になってしまった。腰をゆらすのも、ここでは泥から身を離すために所作になりそうだ。

だからこそ、この盛り上がりに意外を感じた。それはメンバーが10人もいて音が分厚いからだろうか、1曲目が「燃えよドラゴンのテーマ」というキラーチューンだからだろうか、それともオーディエンスが「誰かが始めたステップなんて関係ないんだ」とデタラメでいい、そんなロックファンがステージを見ているからだろうか、まあ何にせよさまざまな要素が複合的に絡み合って生まれたオルケスタデラルスのステージは、悪条件に反比例して上々の盛り上がりを見せた。

2曲目から登場したボーカルのNORA。小粋にソンブレロをかぶった彼女は、「グラシアス、サンキュー、ありがとう」と、スペイン語、英語そして日本語で曲ごとに感謝の意をオーディエンスに伝える。「フジロックに出るのが長年の夢でした!」という素直なMCと快活な歌声そしてダンスで迎えられたオーディエンスは、いつしかサンダルを置いて泥だらけになりながらリズムの虜となって踊り、手を振る。左に右に動く手を高い所から眺めやれば、ステージとオーディエンス感に確かな一体感を見いだす事ができる。男女ペアになって決まりのステップでくるくる回る、そんなサルサのダンスとはひと味違うが、その光景もまたミックスカルチャーのフェスにとってはいい景色の1つと言えよう。

ハイライトはビールのCMでおなじみ、ジプシーキングスのカヴァーで「Volare」。「天気はこんななのに『暑い』だなんて、いいね!」というNORAのMCの通り、悪環境を全く無視した盛り上がりの中で、「分からないよー」と笑いながらもサビを大合唱するオーディエンスをさらに煽動していく25年のヴェテラン・バンド。フジロックらしい思い出が、また1つ増えた。

reported by org-debu

 

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