ハナレグミ

In: White Stage

07 / 26
at 5:42 am

　この男、一体どこまでフジロックと相性がいいのだろう。04年のフィールド・オブ・ヘブンを体験したこともあり再び足を運んだのだが、改めてその突出したポップセンスや歌唱力といったものに心を打たれてしまった。

　バンドの音に重なる永積の声を聴いた途端、この後に続くショーの素晴しさを確信した。永積の柔らかみを帯びた声はもちろん、個々の音がしっかりとかみ合ったバックの演奏も素晴しい。ソロユニットというよりも、長年連れ添っているバンドといった方がしっくりとくる。前半のハイライトは、やはり誰もが聴きたかったであろう”家族の風景”。イントロが流れはじめるとともに、エリア周辺から雑音が消えていった。日常から離れたフジロックの地で、何気ない日々の生活を描いた詩を聞くと、そんな日常生活を少し恋しく思う気持ちも沸いて出てくる。永積の発するひと声ひと声がじんわりと胸に沁みた。

　しっとりとしたナンバーの後は、”あいまいにあまい愛のまにまに”でオーディエンスを盛り立てる。ここでゲストとして呼び込んだのはスチャダラパーのBOSE。替え歌まじりに”今夜はブギーバック”を掛け合い、次々とオーディエンスの表情に笑顔をもたらしていく。ホワイトステージ前に漂う空気は、どんよりとした曇り空を感じさせないほどに澄み渡っていた。その後も盛り上がりは持続していく。”明日天気になれ”では、そのままの歌詞が見事にオーディエンスの想いと合致し、天へと昇っていくような雰囲気があった。

　最後は永積による弾き語りでセットをしめる。天井から注ぎ込まれるスポットライトに照らされた永積の姿からは、遠目に見ても充実した様子が伝わってきた。それはホワイトステージ・エリアをいっぱいに埋め尽くしたオーディエンスも同様だ。数あるステージの中で、この場所を選んで心底良かったと思わせてくれるライブに出会うことができた。その喜びを、少しでもこの文章から伝えることができればと思う。

reported by org-funa

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