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ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND

07 / 29
at 1:58 pm

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Photo by MASUYO HOYA

 2003年以来、久々の来日となったのがこのROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND。ペダル・スティール・ギター奏者であるロバート・ランドルフを軸に、その名の通り従兄弟などともに結成されたバンドだ。久々の来日、加えて日本のフェス初出演ということもあり、どんな名演を披露してくれるのかと期待は高まった。

 前半の数曲は、ペダル・スティール・ギターを中心に、バンド全体でジャム・セッションをするかのように進行していく。テンションを押さえきれないといった様子のロバートは、その気持ちをそのまま音に込めるかのように楽器を奏でた。流麗なペダル・スティール・ギターならではの音色を響かせては、時おり「LOVE!」とシャウトしてオーディエンスを煽っていく。音色の美しさと、粘り気のあるバンドの音が徐々にかみ合いはじめていった。

 中盤になるとペダル・スティール・ギターからエレクトリック・ギターへと楽器を持ち替える。座ってじっと演奏するよりも、体を動かして演奏するのが好きなのか、椅子に身を乗り出したり、ステージ中を動き回ってギターをかき鳴らした。楽器を持ち替えたことによる大きな変化は、その音色はもちろんだが、より歌に重点が置かれた印象が強い。ギターやハモンド・オルガンのソロをまじえながら、歌を聴かせるロックバンドへと変化していった。

 ラスト数曲になると、ロバートは再びペダル・スティール・ギターの元へと戻る。ここまでの間、ずっとジレンマに思っていたことがあるのだが、各パートとのソロを応酬などはあるものの、バンド全体からの強烈な勢いを感じることができない。後半は『Live at the Wetlands』という初期のライブ盤で放っていたような一体感を期待していたのだが、それは結局最後まで感じることはできなかった。演奏が終わりステージを後にすると、隣にいた日本人オーディエンスが「これじゃただの自己満足だよ」とつぶやいていたこともあり、同様に感じていた人もわずかながらにいたのかもしれない。とはいえ、演奏そのものは決して悪いことはなかった。2〜3時間とロングセットで見れば、また違った表情を見せてくれたのだろうという思いもある。再びフジロックで見られる機会があるのであれば、フィールド・オブ・ヘブンのトリなど、より自由度の高い環境を期待したい。

reported by org-funa

 

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