Photo by Terumi Fukano
疲れの後に通りすがる場外の、無茶苦茶な雰囲気に人は吸い込まれる。深夜パレスの醍醐味といったら、天井知らずのテンション、それに尽きるだろう。カリビアン・ダンディ、パチュカブラス、EKD、ラ・キンキー・ビートのルーデ、そしてエスネ・ベルサの面々が集ったラディカル・ミュージック・ネットワークがかましたメスティーソ(混血)・フィエスタ・パーティは、ディプロの急なキャンセルもあって、朝まで続いた。
モンゴルのアルタン・ウラグが生み出した熱を引き継ぎ、ハチャメチャなパーティは始まった。DJタイムとなれば、酒を買いに、あるいは涼みに、外へ出てしまうものだが、クリスタル・パレスのテントにいた人間をその場に留めたのは、ありとあらゆるジャンルを丸呑みした濃厚で強烈な音。マヌ・チャオ、フェルミン・ムグルサを筆頭としたレベル・ミュージックは、入ってくる情報の乏しさに、なかなか触れる機会がない。だが、一度知ってしまったら最後、抜けられない。引けない言葉とリンクする楽曲の力強さに、まんまと飲み込まれてしまうのだ。
ラバダブ・マーケットのジャーゲ・ジョージが飛び入りし、イタリアのアンダーグラウンド・シーンでは知らぬ者がいないルーデが発するぶっといトースティング、予定のなかったエスネ・ベルサのアコースティックライヴも急遽セットに組み込まれ、予定調和なし、再現不可能なパーティとなっていた。そして、ファミリーであるEKD。こぢんまりとしたハコで地道にライヴ活動を続けてきた彼らにとっては結成以来最も手応えを感じたライヴとなり、メンバーは一様に興奮していた。
そのライヴの最中、ステイト・サーカス・オブ・モンゴリアの面々がテント中央に集結し、ゲリラ的にパフォーマンスを開始。3段のタワーを組上げ、バク転、バク宙が矢継ぎ早に繰り出される。こうなると、もう、どこを見ていいのかわからない。そのうちに、エスネ・ベルサが再度登場、さらに制御不可能な状態へと持っていく。ラディカル〜に関わる人間がすべて登場してのオーラスは、どこを見ても弾ける笑顔ばかりで、「なんか知らないけれど楽しそう」から、「伝説」へ飛躍を遂げていた。
だが……それだけでは終わらなかった。エスネ・ベルサはテントの外で演奏を始め、なんとプリンスに向けて歩き出したのだ。車が迫ればフロントガラス前に詰め寄って、スタッフを丸ごと踊らせてしまう。常識が通じないパーティ、その血に混じることができたあなたは、どんどんこの時の話を友達に伝えてほしい。
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reported by org-tiki
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